IPO後株価が順調なTILRAYの上場資料を読んでみた

07/21/2018
7月19日のIPO後、順調に株価を上げているティルレイ(TILRAY:TLRY)のIPO申請時の資料がSECにUPされていたのでサラッと読んでみました。

＜サマリー＞
・総資産の39%は現金と短期投資。
・売上高は2050万ドル（約21億円）で62%の伸び。
・営業利益は1100万ドル(約11億ドル）で326％の伸び。
・販管費も上がっているので2017年の純利益は$7.8M(約7億8千万円）の赤字。
・今回のIPOは安定した財務基盤と今後の事業拡張へ向けて大切だった。
・今後より一層の売上拡大と同時に費用は抑えていくことが必要。

＜ティルレイ（TILRAY:TLRY）のビジネスは？＞
2016年設立。アメリカデラウエア州に登記されており、現在はカナダ・ブリティッシュコロンビアに本社を置いている。
カナダ、ヨーロッパ、アルゼンチン、オーストラリア、チリ、クロアチア、キプロス、チェコ、ニュージーランド、南アフリカ、ドイツへ高品質な医療大麻製品を供給しています。
カナダ保健省からいち早く医療用カンナビスの製造と販売を許可されたティルレイは、成長が続くカンナビス市場においてティルレイは非常に良いポジションを獲得しているとのこと。
また、ティルレイは北アメリカにある会社の中で最初に南アフリカ、オーストラリア、ヨーロッパへの輸出を許可された企業でもあり、ポルトガルにおいても栽培製造販売を許可された最初の企業ということです。

＜強みとブランド＞
ティルレイはノバルティス（製薬会社）の事業ブランドであるSandoz Canadaと提携をしており、医療用カンナビス製品の共同ブランドでの開発、販売を行うとのこと。Shoppers Drug Mart Incとは供給契約を結んでおり、Shoppers Drug Martの持つ1200箇所の薬局へ製品を供給する体制ができている。また650箇所の薬局を持つPharmasaveとは契約完了間近とのこと。ドイツにおいては薬局薬卸の大手Nowedaとパートナーシップ契約を結んでいる。
ティルレイの展開する医療用カンナビスブランドは「ティルレイ」でTHC-Dominant, CBD-Dominant, THC&CBD balancedのラインを展開している。

また、今後各国での娯楽用カンナビス解禁に向けて、以下のブランドを展開している。

＜市場規模予想＞
国連では今後世界のカンナビス市場は非合法も含めると$150billion(約16.7兆円）と予想しており、使用者数は1億8千万人になるだろうと予想している。

＜雇用人数と会社施設に関して＞
2018年7月4日現在、カナダ、ドイツ、ポルトガル、アイルランド、米国、チェコに330人を雇用しており、このうち313名が正規雇用のフルタイム社員とのこと。内訳は、製品開発・リサーチ、流通部門に224人、総務・アドミニストレーション部門に57人、セールス・マーケには49名となっている。
現在オフィスはシアトル、ナナイモ、トロント、ベルリン、シドニーにあり、栽培施設はブリティッシュコロンビア、オンタリオ、ポルトガルで操業しています。現在計画中の施設が稼働すると2018年末には全世界で912,000スクエアフィートの施設面積となり、最終的に稼働施設面積は3,800,000スクエアフィートとなる予定です。

＜BSを見てみた＞
資産総額$106M(約106億円）の資産の39%が現金と短期投資となっており、またそのうち$50M(約50億円）が工場や製造機器となっている。
2018年3月末時点での負債総額は$64M(約64億円）となっておりこのうち$34M(約34億円）は株主でもあるPrivateer Holdingsへの支払い予定の借り入れとなっている。銀行などからの長期借り入れはないので安定した経営が行えている状況と言えるだろう。
今回のIPOによって調達する資金から$37M(約37億円）を返済の準備金とする予定とのこと。

＜成長率は？＞
損益計算書を見ていくと売り上げは2016年の$12.6M(約13億円）から2017年には$20,5M(約21億円）と62%の伸び。売上総利益は2016年が$2.6M(約2億６千万円）のところ2017年には$11.3M(約11億3千万円）と326%の伸びを示している。
ただし、ドイツやオーストラリア、カナダでのセールスマーケ費や人件費などの販管費が膨らんだこともあり純利益は$7.8M(約7億8千万円）の赤字となっている。