『いよいよ今月合法化するカナダと未だ連邦レベルでは違法状態のアメリカ』
トランプ大統領とカナダのトルドー大統領の貿易交渉が一時不調になりつつも最終的にはFTA締結となったり、同じ北米大陸にありながら、合法化へと進むカナダと依然連邦レベルでの違法状態が続くアメリカは水面下で牽制し合っている状況だ。
筆者の個人的見解だが、カンナビス産業の合法化で先行し、いち早く世界標準の覇権を握りたいカナダと、一気に巻き返しを狙っているアメリカという構図があるのではと考えている。
1980年代、シリコンバレーでIT企業が次々に誕生し、政官揃って産業を後押ししたために後のGAFA(Google, Apple, Facebook, Amazon)が生まれ、その後世界の覇権を握ったように、シリコンラッシュはアメリカにとてつもない富を生み出した。カナダは今回その轍を踏まないために、いち早く合法化を進めてグリーンラッシュの覇権を握ろうとしているように思える。
ではアメリカはこのまま黙って覇権を握られるのを見ているのだろうか?
先日発表されたアメリカ入国基準に関する報道では、カナダでカンナビス事業に関わったり、投資しているカナダ人はアメリカへ永久に入国できなくする可能性があるといったニュースが伝えられた。これはトランプ政権がカナダのカンナビス産業に揺さぶりをかけていることにほかならない。
カナダのカンナビス企業はアメリカ市場を無視することはできない。それはカナダ全土が合法化しても、カナダの人口はカリフォルニア州の人口より少ないからだ。カリフォルニアをはじめ、圧倒的な消費力を持つアメリカの市場は世界覇権を獲得するためには外せない市場である。
トランプ政権は貿易障壁を上手に築きながら自国にメリットがあるように交渉するのが実に巧みである。
現在、カンナビス企業はなかなかアメリカでの資金調達が進まず、カナダでの上場や限られた方法だけになっている。
トランプ政権は、カナダでのカンナビス産業の拡大の様子を注意深く精査しているはずだ。
麻薬取締に関して厳しい姿勢をとり世界に協力を求めるトランプ政権だが、まずは外堀を埋めるように他国の動きを牽制し動きを鈍らせ、ある時点で一気にアメリカに覇権が移るような施策を打ってくるのではないだろうか。
現在の連邦法で違法状態を続けているアメリカは、自国のメリットとなるように外堀を埋めている作業中というだけなのかもしれない。