06/18/2019
日本でグリーンラッシュと呼ばれる大麻ビジネスの盛り上がりに参加しようと思うと、法的な問題からいくつかの方法に限られてくる。
一つは、日本でも合法であるCBDを中心とした製品輸入販売など。
すでにいくつかの企業が先行投資とともに先行者利益を獲得しており、今後もティンクチャーやCBDベイプ、飲料、健康補助食品、スキンケア、ペットケアなどの分野でこの業界は盛り上がっていくだろう。世界的な流れもアイソレートと呼ばれるCBD単離なものからアントラージュ効果が見込まれる全草利用のフルスペクトラムのものなどへと変化してきており、この流れをいち早く掴んで市場投入できた会社が伸びていくだろう。
ただし、注意が必要なのは、海外の会社でTHC0%を謳っている商品の中に、実際の検査ではTHCが含まれていたり、花穂からの成分抽出があったりと日本での規制に触れるものもあるようなので、輸入販売には注意が必要だ。また、効果効能を謳うと薬事法に触れる可能性もあるので、その辺は専門家などのコンサルテーションを受けた方が良いかもしれない。
もう一つは、株式投資だ。ニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引市場へ上場されている株式なら、日本にいながらカナダやアメリカの大麻プロデューサーへ投資を行うことが可能だ。日本のオンライン証券会社でもいくつかの銘柄は取り扱われており、海外の投資家と同様に今後のグリーラッシュの盛り上がりへ投資することが可能になる。具体的な銘柄は弊サイトの別記事にも掲載しているのでご参照いただきたい。
投資に際しては、十分その企業の将来性、成長性、収益力などを検証することが必要になってくるが、まずはその企業がどのような事業を行なっているかを大まかに把握するといいだろう。
Kindle本の「投資に役立つ!よくわかる大麻ビジネス」でも解説しているが、大麻産業には大きく分けて、
大麻草に直接触れる業種—栽培、抽出、処理、販売などと、
大麻草には直接触れない業種—パッケージング、吸引器具、オンラインでの顧客データなどを扱うCRMサービス企業、決済サービス提供会社、ベンチャーキャピタル、メディア、イベント会社などがある。
また、垂直統合型大麻企業と呼ばれるキャノピー・グロースやオーロラ・カンナビスなどのLicensed Producer(LP)は栽培から研究開発・販売まで大麻にまつわるビジネス・バーティカルを全て網羅している。
では、これら大麻LPが全てのビジネスを牛耳るかと言われると、そうなる分野もあるだろうし、そうはならない分野もある。
栽培の分野は大麻草とはいえ、農産物であることに変わりがない。そのためある程度規模の経済が働くと想定されており、大手のLPはいかに低コストで高品質な大麻やカンナビノイドを生産するかということにしのぎを削っている。その一つが栽培コストの安い南米への進出であり、屋外生産であり、テクノロジーを利用したカンナビノイドの生成(例えばイースト菌での培養など)だ。
大麻草に触れない分野で成長が見込まれるのは販売データ扱う企業や、決済機能を提供する企業などテクノロジー系の企業には注目だ。
現在まだOTC市場だが、大麻企業にむけてコンサルティングサービスを提供しているメディスンマン・テクノロジーズなどは面白い存在だし、行政府へもビッグデータを提供しているMJフリーウェイを統合したナスダック上場株のアケルナ(Akerna 元Mtech acquisition corp)なども、今後の注目株だ。カナダの証券取引市場に上場されているTILT Holdingsなども大麻産業のビッグデータを扱うBakerなどを傘下に持っていて面白い存在だ。
また、販売店などで大麻製品をお客や患者に提案するBudtenderの人材確保も業界としては急務でHR分野も急速に伸びている。
9期連続で四半期配当を出している大麻専門不動産REITのイノベーティブ・インダストリアル・プロパティーズなどは、様々な規制が絡む用地取得や設備投資で専門ノウハウを扱っており、今後も成長が見込まれる。
実際コンベンションでも不動産会社の出展は多いが、未上場の不動産会社であってもどこも業績好調との話だった。
Endocanna Healthなどは自分のDNAがカンナビノイドとどのように対応するかなどを検査してくれるサービスであり、自分がTHCやCBDを摂取したときに眠くなるのかハイになるのかなどを事前に知ることが可能となる面白いサービスだ。
その他、アプリを通してデリバリーサービスを提供する会社などもあり、今後も新しいサービスを提供する会社がどんどん生まれてくるだろう。
最後に、海外に飛び出して自ら大麻ビジネスを起業したり、大麻企業へ就職したり、直接エンジェル投資を行うことも一つの方法論だが、ビザの問題などもあり比較的実現可能性は低いかもしれない。
日本での大麻合法化は医療からしか進まないと思うが、それでも新しいサービスや海外事例をうまく日本風にアレンジ・ローカライズした事業が生まれてくるだろう。
合法国への大麻観光ツーリズムなどは今すぐにでも勃興しそうな領域かもしれない。
弊サイトの読者の皆様には情報先行者として何らかの利益があれば幸いだ。
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<<新刊発売のお知らせ>>
「投資に役立つ!よくわかる大麻ビジネス」980円
カンナビストック・ジェーピー編集部 著
「ダメ!絶対!」が浸透している日本では考えられないことだが、アメリカ、カナダ、ヨーロッパで多くの企業がこの産業に参入し、彼らの多くはすでに大麻合法化へと向かう時代の流れを掴み、着々と事業を拡大している。
本書では、大麻ビジネスが世界でどのように展開されているのか、市場規模や各国の状況、そしてどのような産業や企業があるのかをざっと理解できるように構成している。
本書で取り上げた企業はほんの一部に過ぎないが、今後の大麻産業の流れを見る中でも押さえておきたい企業を取り上げた。
本サイトと合わせて読んでいただければ、「グリーンラッシュ」と呼ばれる大麻産業の”今”が理解できるでしょう。
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